9月初めにパステルペット肖像画・ほどよくリアルなタッチのご依頼をいただきました。
メインクーンの8歳の男の子、幸太郎くん。
ご依頼主の I 様はお写真をたくさん用意してくださいました。
その中からポーズは床に伏せているものを選び、顔は正面向きのものを合わせて
使わせていただきました。
とても大きな猫ちゃんと伺いました。立派な毛並みを持ち、凛々しくてカッコ良いなあというのが私の受けた印象でした。
その印象のままに下絵を描いて提出したのがこちらです。
シャープな顔立ちをしています。
最初、幸太郎くんをもっと画面いっぱいに描いていたのですが、背景にチューリップ、ひまわりなどの可愛いお花をというご要望をいただいたので、縮小してスペースを作り、お花を背負わせました。
最初の下絵に対し、修正のご要望がありました。
顔がきつい感じなので、もっとふっくらと子供っぽい感じにと。
やはり、たくさん写真をいただいても、いつもそばにいた方のイメージを
掴むのは難しいものだなあと痛感しました。
顔のラインをふっくらさせて、それに伴い顔周りの長い毛もボリュームアップ
してみました。こちらの下絵でOKをいただきました。
彩色に入ってからの過程はこのような感じです。
お花がピンクのチューリプとガーベラ、黄色いひまわりという色合いなので、背景は淡いブルーを配色しました。
幸太郎くんを顔を中心に徐々にパステルで描いて行き、ある程度できたら花の彩色に入ります。
両方のバランスを考えながら、細かいところを仕上げて行きました。
そして、完成して額装したものが下の写真です。
額縁は描いている途中で全体の色合いが決まってきたところで注文しています。
幸太郎くんの立派な毛並み、凛々しい雰囲気に合うように、アンティーク調の
華やかなものを選びました。
実は、I 様が肖像画を依頼してくださったのは、幸太郎くんが亡くなったためでした。
写真を見るのも辛い日々を過ごされていた中、
あるブログを読んで同じ境遇の人が肖像画を描いてもらって癒されたという話を聞き、
肖像画の依頼を検討されたそうです。
そんな大切な想いを託していただいてとても光栄に思いました。
私自身、クロを亡くした時にぬいぐるみを作っていただいたことがあり、
その際に癒された経験を自分のできることでお返ししたくて肖像画を始めました。
この肖像画を日々眺めることで、I 様に少しでも和んでいただけたら、と願ってやみません。
最後になりますが、幸太郎君のご冥福を心よりお祈りいたします。